給食が始まって1週間が過ぎました。
春から約1か月半お家で過ごした子どもたちが、給食を前にどんな様子を見せてくれるのか、色々な意味で楽しみにしながら、各クラスを覗いています。
初日の給食は具沢山みそ汁でした。
「最初の給食だけどカレーじゃないんでしょ」(例年、初回は食べやすさを1番に考慮して親しみのあるカレーライスなのです。よく覚えてますね)
「そうだよ、みんなの体の事考えて、カレーよりもっと栄養のあるメニューにしたからね。今年は野菜と発酵食品推しのメニューだよ」
発酵食品、ビタミン、タンパク質etc. 年長さんは今までの学習経験から、色々なことを知っています。体をつくるために必要な食べ物、旬のおいしい食材、自然に受け入れてしっかり食べる子が増えたと感じています。
揚げ出し豆腐の日、お皿に乗った肉そぼろ餡たっぷりの揚げ出し豆腐を前に、何だかわからないから、手を出さないでおこう…という心の声が聞こえてきそうな年少さんが、ご飯とみそ汁から食べ始めていました。(もちろん、中には大きなお豆腐にかぶりついている頼もしい子もいました!)
本来なら、一口で入らないものは、箸で半分に切るなど、食べ方を教えるのですが、今年は、新型コロナウィルス感染リスク軽減を念頭に、口に入れるまでの時間短縮、先生との関わりを短縮するべく、そのままパクリと食べられる小さいおかずにしてもらうよう、お願いしていました。しかし、キッチンの方でうっかりいつもの大きさで出してしまったのです。
どうやって食べていいかわからないから手を付けてもらえないお豆腐を半分に切って「はい、食べてごらん、おいしいよ~」と差し出すと、パクリとかじってその後は、ぱくぱく食べてくれます。「先生、これ切れないよ」「どれどれ、こうやるんだよ」そんなやり取りをしながら(感染に気を付けながら)年少さんを回って来ました。
食べる意欲は人間が本来持っているもの。
それを引き出してなおかつ安全で栄養のあるおいしい旬の食材を自らチョイスして食べることができる人間に育てるために、素材選びはもとより、食べる環境も、材料の切り方や調理の仕方、提供の仕方も考える必要があります。
本来なら前述のようなやり取りをしながら食事をすることで、会話やしぐさからいろいろなことを学んでいくのです。感染リスク軽減はもちろん大事、それを最大限行いながらの教育を行うには何をチョイスして何を諦めたり後回しにするか、日々考えて情報を探っていきたいと思います。
「先生、給食が始まってよかった~」とお母さんたちから声をかけられました。お子さんの体のことを考えて、一生懸命食事を作ってくれていたからこその言葉だと、子どもたちの給食の様子を見てわかりました。
みんな、よく食べているのです。
食べる意欲に満ち溢れているのです。
食べる意欲=生きる意欲とも言えると思います。
おうちで、きちんと食事を作ってもらって、会話をしながら、おいしく楽しく食べていたからだと思いました。
先日、他の幼稚園の先生方との会議の際に、休園していた時の保護者のお話として、「休みになって、子どもと何をしていいかわからない」という声が聞かれたというお話を伺いました。出かけられないからお家で過ごす時間が多かったからだと思います。
前にも書きましたが、食事作りを家族でするのはとても良いことだと思います。
何しろ、おいしいものが目の前で出来上がるのを見られるわけですし、食材の感触や、匂いや、調理の音や、実際に水を出して野菜を洗ったり、ちぎったり、お皿を出して並べたり、お手伝いをするとお母さんの喜ぶ顔も見られます。
家の中で、料理ほど、バラエティに富んだドキドキする経験ができる機会はありません。しかも、毎日違う食材が出てきたり、同じ食材でも調理法が違ったりします。
料理はとても面白い上に生きるために必要なスキルです。
子どもは遊びながら社会のルール、道具の使い方、人との接し方などを学んでいきます。子どもにとっての遊びとは、おもちゃやお出かけやゲームだけではありません。
大好きなお母さんやお父さんおじいちゃんやおばあちゃんと一緒にする、料理も片付けもお風呂掃除も、興味を持って新しい発見をしながらやることはすべて、遊びです。だって、興味があって、やるとお母さんたちが一緒に笑ったり、失敗したらもう一度やり直して成功したり、だんだん上手になったり、工夫が楽しくなったりするんですから。
もし、子どもと一緒に何をして遊んでいいかわからない。と思うことがあったら、一緒にご飯を作って楽しんでください。そして、失敗も次の成功につながるような声かけをしてあげて下さい。10年後にはきっとお母さんのかわりに夕食を作ってくれるようになると思いますよ。
さて、泣く子泣かない子どちらも、元気に登園してくれてとても安心しています。
泣く子も元気、という表現はあまりないかもしれませんが、泣く子も笑顔の子も、どちらもとても自然な子どもの姿だということです。
新入園児さんが、お母さんと離れるとき、遊んでいて思い出したとき、眠くなったり疲れたりしたときに泣くのは普通のことです。笑ったり泣いたり怒ったりと、喜怒哀楽の表現が自然に出るのはあたりまえのこと。
夢中で遊んでいるときはお母さんのことは思い出しませんが、活動の切り替わるタイミングや、食後に眠気も催してきたころに、お母さんを思い出して泣くこともまだあります。
みんなお母さんが大好きですから、当然です。周り(社会)が見えてきて、お友達が出来て、やりたいことが出て自ら遊びたいと思うようになると、お母さんを思い出して泣くこともなくなります。それも寂しいですがね。
登園後に粘土遊びを楽しむ子が多く、私も大好きなので、あちこち回って、犬や猫や恐竜やヘビ、苺のケーキにホットケーキ、餃子にドーナツといろいろな形を作って一緒に遊んでいます。
粘土遊びは幼稚園だけで楽しんでいるのはもったいない!
親子で遊べる、しかも場所も取らないし、どこでもできる上に、粘土は値段も安い!
ぜひ、お母さんお父さん一緒に粘土遊び楽しんでください。粘土遊びはなかなか奥が深いですよ。
できれば、少し硬めの粘土を購入することをお勧めします。幼児用は年々柔らかくなっており、(多分、幼稚園の先生たちの要望なのだと思います)すぐに丸めたりできるのですが、動物を作っても、しっかり立たずにふにゃりと崩れてしまいます。(昔の粘土はキリンも象もしっかりと作れました)
当園では、水粘土を使う機会もありますので、力を込めて粘土をこねて思うように形を作る、という経験もします。
ご家族で粘土、ぜひ遊んでください。作って見せると子どもに尊敬のまなざしで見られますよ。そして、粘土にはまる方、必ずいらっしゃると思います。
さてさて、3密のうち、密閉以外は園生活においては避けられない旨、すでにお知らせしました。
暑くてマスクなどしていられませんが、活動の際、お話を聞く時はマスクをして、動くときは外すなど、年長さんは先生の指示で上手に動いてくれています。
雨が降ったりやんだりの今日は、うめ組さんに、「ふじ組さんの面倒見て、一緒に遊んでね」とお願いして、ホールにおいて、カプラで遊びました。自分より小さい子に目線を合わせて話しかけながら、遊び方を教えてあげていました。ふじ組さんもお兄さんお姉さんと一緒によく遊んでいました。
幼児期の経験は、学童期のそれとは違います。
ここでしか、今しかできない経験が、思う存分心置きなくできるように、とりあえず、新型コロナウィルス感染症の検査が誰でも定期的にできる医療体制が整うことを願うばかりです。