福島わかば幼稚園の子供たちは、入園した日から、さまざまな目標に向かって綿密に作成した計画に基づいて、教育を受け経験を積み卒園の日を迎えます。
子供を育む私たちにとって、最も長期的な目標は卒園した子供たちが、やがて人として自立することにほかなりません。
子供を取り巻く制度がどのように変化しても、子供の本質は同じ。現場で子供たちと接している私たちが考えなくてはならないのは、なぜ、就学前の子供たちが幼稚園という場所で教育を受ける必要があるのかということです。
人はみな、「こういう人間になりたい」「こんな仕事に就きたい」「こういう生き方をしたい」など、夢を持って生きています。そういった自分の望む幸せを叶える努力が出来る人になることが、人としての自立であると考えます。
将来の自立のために、「幼児期に必要な、様々な経験を積む環境を保証する場所」が幼稚園です。
私たちもその環境のひとつ。最適な環境であるように、ともに努力していきたいと考えています
教育目標に掲げているのは、様々な教育を通して子供たちに身につけてほしい姿勢、能力です。障がいの有無にかかわらず、健康な体には、健康な心が宿ります。
仲良くすることは、他を認め、尊重することです。よく考えて自分で行動を決められる子は、どんな環境においても自己実現できるはずです。
教育目標をより良く達成するために、教育内容の充実があります。アート教育も専門の講師がいることで、様々な画材を使わせたり、新しい表現にチャレンジして、表現を認め合うことが出来ます。自園調理の給食は、温かく、家庭のような良さがあります。専任のスタッフが調理することで、栄養管理もバッチリです。
教員の福利厚生や待遇改善により、賃上げプラス残業と持ち帰りの仕事を無くしました。職員もストレス無く子供たちに向かい合える環境を作っています。
1
健康な心と体
自園調理給食によって、健康な体を作ります。実際に給食を食べるようになってから、風邪等でお休みする子が減りました。
お休みが減ると友達や先生との関わりも増え、社会との関わりも多くなります。健康な心は、そういった関わりの中に育まれます。
2
自立心
自ら考え、自分で行動することを教育目標に掲げています。様々な場面で、子供たち自身で「動く」ことを尊重しています。
運動会や発表会の練習のとき、どうすれば上手くいくのか、何から準備すればスムーズに活動できるのか。子供たちと一緒に考え、意見を基に実践することで自立心を育みます。
3
協同性
常に集団で生活していることを意識させています。活動の流れ、給食の時間、行事等、協同することは多くあります。
教諭は、一方的に自己主張を抑えるのではなく、他を認めての集団生活を意識して教育に取り組んでいます。
4
道徳性・規範意識の芽生え
教育の現場は、「安全に失敗できる現場」です。人間関係、社会のルールなど分かり始める時期だからこそ、きっかけを大事に教育していきます。
なぜそれがいけないことなのか、小さな失敗があったときにきちんと検証して説明することで、理解を広げていきます。
5
社会生活と関わり
子供たちは、園にいるだけで様々な年齢の子供や大人と関わりを持ちます。現在、職員は園長をはじめ20代~50代までバランス良くいます。
また、園でワークショップを開く際には小学生や保護者と関わることもあります。様々なイベントや園生活を通して、異年齢交流から生まれる多様な価値観を尊重し育てます。
6
思考力の芽生え
子供たちには、自分で考える場面を意図的に提供しています。
例えば、絵画の制作では、紙の材質や色、絵具の種類、筆など様々な道具に触れ、自分の思う表現をするためには何を使うのか、考えて選び取ります。
7
自然との関わり・生命尊重
風や気温の変化を感じながら戸外遊びをしたり、身近な植物や虫などの自然と関わり色々なことに気づくことで、興味関心を深めます。
同時に、食育によって「命の恵みに感謝する」ことも重要だと考えています。自然事象を感じる生活をしながら、植物、生物、それら命を食べているという観点に立ってこそ、生命を尊重する気持ち、自然への畏敬の念が生まれます。
8
量・図形、文字等への関心・感覚
絵画を描くということには、これらすべての要素が入っています。
例えば絵具を使うときには、混色する絵具の量、混ぜる水の量、何を使ってどのように描くことが自分の表現に適しているのか、想像と思考から探求し、創造する意欲から表現の方法へと繋げます。
また、線を描くことは文字を書くことにも通じます。日常生活の小さな気づきや発見から、学習意欲を育て、多様な感覚を養っていきます。
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言葉による伝え合い
転んで手当してもらう時、何かを借りるとき、お友達と何かあったとき「なぜそうなったのか」「だからどうしたいのか」を伝えられるように指導しています。
絵本の読み聞かせや普段の言葉かけを丁寧に行うことと、伝える手段としての適切な言葉をどのように使うのか、場面に応じて話せることが目標です。
また、「ありがとう」と「ごめんなさい」など、気持ちを伝える言葉も大事にしています。
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豊かな感性と表現
絵画などで何かを表現することは、「感じて」→「表現する」ことが基本です。この基本の中をどれだけ内容の濃いものに出来るかがアート教育の見せ場です。
まず描く前に、どれだけの情報を与えられるのか、感じ取れるのか。リンゴを見て「赤い」「甘い」のほかに「中身は白っぽい」「皮に模様がある」「ヘタをつかむと重い」「花びらの数」など
五感を使って感じ取り、何を表現したいのか考えることで、その子なりの表現が生まれます。豊かな感性と表現は、制作のプロセスの中にこそ潜んでいます。