それは、非認知能力を伸ばすためです。
これまでのアート教育では、画力を均一に伸ばすこと、空間認知が正常に行われることなどを念頭に指導されていましたが、本来アートで行うべき教育は違うところにありました。
アートを経験することで、今までとは違う視点を持つことができるようになります。さらにオリジナルを制作するためには、独自の視点による、より多くの制作プロセスの解明が必要になります。つまり、目には見えない非認知的な情報がたくさん必要になり、それを得ようと様々な視点から物事を考えようとします。制作の中でこれらを繰り返すことで、目には見えない非認知的情報をより多く獲得できるようになること=非認知能力を伸ばすこと、を念頭に教育すべきだったのです。
アート教育は非認知能力を伸ばしていくために必要不可欠です。非認知能力は、子どもたちがこれから生きる上での「行動」「選択」の原動力となるものです。変わりゆく現代をより良く生き抜くための土台なのです。新たな教育方針としての「STEAM教育」を取り入れており、より時代のニーズに合う幼児教育の提供に繋がっています。
アートと非認知能力。このキーワードとともに何をするべきか、当園の特色を生かすことでどのような企画が出来るのかを以下にまとめます。
クレパス、水彩絵具(透明水彩)、墨、アクリル絵の具などを使用し、多種多様な制作活動を行います。また、美術講師自ら、上記の画材を含め、画用紙なども選んでいます。なぜならば、子どもたちが得る最初の感動をより大きくするためです。例えば、発色の良い紙に発色の良い絵具を使うことで、絵を描くことがもっと楽しくなるように、もっと表現したくなるように、制作物に合わせて画材を選定しています。
言葉かけの工夫など、独自のアート提供を実施しています。表現の指導をする上で、言葉かけの工夫は重要です。表現に上下はないという考えに立ち、「上手」「下手」のような言葉は使いません。あくまで具体的に何が良いのか、指導者の立場からはこう見える、というような表現やコミュニケーションの取り方をします。これらにより、自分の表現の良さを認めてもらえる立場になり、さらには、誰かと比べるだけではない、自分の課題点に真摯に取り組むきっかけにもなります。
良い作品を作ることだけが目的ではありません。良い材料に触れてみること、表現を認めてもらうことがとても大事です。プロセスが実を結んだときに結果として、良い作品が生まれます。プロセスの内容を一番濃くすることで、初めて学びのある結果が得られます。
わかばの卒園制作とは、最後の思い出作りや上手な作品作りをするためのものではなく、努力の成果を見やすくしたものです。
そのため制作期間は、約4~5ヶ月にもなります。もちろん、ほかの活動や行事も行いながらの制作です。なぜなら、ただ上手い作品を作りたいわけではないからです。「園生活を通し、得た視点」と「アートを経験することで得た視点」を合わせることで、初めて「わかばの卒園制作」になります。毎年、こどもたちと決める内容は、多岐に渡りますが、どれもかけがえのない制作でした。
それらの集大成と歩みを展示するのが、作品展です。本気で向き合った作品を本格的に展示することで、自らの作品、表現に自信を持つきっかけになります。
自分でみつける新しい視点、みつけるまでの面白さを是非、経験してほしいです!
在園児はもちろん、卒園児や大人対象のものまで、幅広く行っています。基本的に不定期開催ですが、デッサンなどアカデミックな制作から、廃材制作まで楽しめますよ!